蜜色チェーン―キミと一緒に―
「勝手だよな、俺。
別に由香は俺のモノなんかじゃないし、縛り付ける権利もないのに、イライラしたりして。
由香もイヤになるだろ」
「そんな事……」
「きちんとした関係にもならないでフラフラしてるくせに、中途半端な嫉妬する男なんか」
直接耳に注ぎ込むようにして言う拓海くんに、胸がぎゅって締め付けられる。
近すぎる声が私の中から本当の気持ちをすくいだろうとするから、それが声にならないようにきゅって口を結んだ。
好きだなんて素直な気持ちを口にしたら、拓海くんは困るだけだって思うから。
ふるふる首を振るだけの私に、拓海くんがふって笑う。
耳元で聞こえるわずかな声だけで、困り顔で微笑んでいるのが想像できて、その顔がまた胸を苦しくさせた。