蜜色チェーン―キミと一緒に―


「いつ捨ててもいいから」


それは、今まで何度も言われた言葉。

捨てられたって事で心に傷を負っている拓海くん。
もう二度とあんな思いをしたくないから、特定の人を作らない。

なのに……なんでこんな事を言うんだろう。
捨てていいから、なんて。


「しないよ、そんな事……」


拓海くんがどんな気持ちで言うのかは分からないけど、私の答えなら決まってる。

何度聞かれても、いつ聞かれても。


「私は、拓海くんを裏切らない」


でも、そう答えた後、拓海くんはいつも何も言わないで、安心したみたいに少しだけ微笑むから。

もしかしたら、私の気持ちを確認するために言ってるのかなって思うようになった。



< 58 / 285 >

この作品をシェア

pagetop