蜜色チェーン―キミと一緒に―
誰とも特別な関係にならなければ、誰かに裏切られる事もない。
それなのに、捨てていいなんて、まるで保険をかけるみたいに言うのは……私が少しだけ特別な存在だからって思ってもいいの?
私を、少しでもそういう意味で好きでいてくれてるの?
好きだって言葉にして伝えても、離れていかない……?
聞きたい事はたくさんあったけど……。
何も言わずに、ただ、拓海くんを抱き締め返した。
ひとりで抱え込んでいるには、大きすぎる拓海くんへの想い。
それは、色んなタイミングで言葉になりたがるから、抑え付けるのがツラくて。
でも……想いを言葉にした時、拓海くんが離れて行っちゃう気がして。
それが怖くて、今日も何も言えずに拓海くんの胸に顔をうずめた。
温かくて優しい腕。
抱き締めてくれる拓海くんが嬉しいのに。
切なくて苦しかった。