蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇先の見えない気持ち


好きだなんて言ったら、きっと拓海くんは困るに決まってる。

拓海くんにとって恋愛感情は憎いモノで、きっと拓海くん自身、そんな感情は持ちたくないって思ってる。

母性よりも女としての恋愛感情を優先させたお母さんを、一番間近で見ていたんだから。
恋愛感情自体を嫌悪していたって、仕方ないし当たり前だとも思う。


だから、好きなんて言ったって、拓海くんを遠ざけちゃうだけなんだ。
けど……。

私は、好きって気持ちを隠せていないだろうし、拓海くんだって気づいてるハズ。
結局、私もお母さんと同じように恋愛感情が心の大部分を占める“女”だって、気付いてるハズなのに。

どうして、拓海くんは私の傍にいてくれるんだろう。




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