蜜色チェーン―キミと一緒に―
何年も前から、それが不思議で仕方ない。
疑問と一緒に、期待する気持ちが消えなくて。
そんな自分に気づくたびに、拓海くんを悲しませるんじゃないかって不安になる。
こんなあさましい自分を、知られたらどうしようって。
お母さんと同じ“女”の私を、嫌われたらどうしようって。
不安でたまらなくなる。
『つーか、母さんが姉ちゃんが帰ってこないって俺に愚痴りまくってんだけど。
どうなってんだよ』
日曜日の午後。
久しぶりに弟の勇樹から電話がかかってきて、なんだろうなんて呑気に出たら、開口一番でそんな事を言われた。