蜜色チェーン―キミと一緒に―
――誰にも必要とされていないんじゃないか。
――大切な人をいつか誰かに取られるんじゃないか。
そのふたつがトラウマになって、拓海くんを内側から侵している。
でも。
そんな些細な約束にしがみついているのは、本当は私の方かもしれない。
今にでも私の前からいなくなっちゃいそうな拓海くんを繋ぎとめたいって思っているのは、私だから。
「由香ってば」
「え、あ……ごめん。なんだっけ?」
顔を上げると、眉をしかめた愛美と目が合って慌てて言う。
「だから、そんな遊びまわられて、由香は嫌にならないのって」
「あー……うん。どうなんだろ」
誤魔化す事しかできない私を、愛美がじっと見つめる。
それから、少し顔をしかめた。