蜜色チェーン―キミと一緒に―
「それに、今までなんとなくふたりの間に何かあるんじゃないかとは思ってたし」
「なんで……?」
「だって、普通社員って裏にある社員専用通路から出入りするのに、沖田さんだけ受付通るし。
なんでかなって思って見ていたら、沖田さんが由香に視線を送ってるのとかに気づいて」
「……」
「笹川専務の時だって、由香が止めに行っちゃったって話したら、沖田さんすぐに走って行ったし。
だから、ふたりの間になにかあるとはずっと思ってた」
まさか気づかれてるなんて思わなかっただけに、どう返せばいいのか分からない。
拓海くんは、私との関係を、社内の人には知られたくないと思ってるから、ちゃんと否定しないと……。
でも、抱き締められているのを見られてるのに、どうやって?
色々と思考を巡らせて黙ったままの私の耳に、愛美のおおげさなため息が聞こえて、ゆっくりと顔を上げる。
すると、ふてくされてるみたいな顔をした愛美と目があった。