蜜色チェーン―キミと一緒に―
「でもさ、由香が自分を好きだって気づいてるなら、もう関係やめそうじゃない?」
「面倒くさいから?」
「うん。だって誰かに執着したくないとかいいつつ、由香には情が移るほど執着しちゃってるじゃん。
例え恋愛関係じゃないとしても、沖田さんは、友達とかそういう他人との関係を一切持ちたくないって事なんでしょ?」
「……うん。
私とは、家庭教師の拘束期間もあったし……離れるタイミングを逃したんだと思う」
「そもそも、家庭教師としてしか付き合っていなかったなら、沖田さん、自分の悩みなんか話さないんじゃない?」
「それは、たまたま私が聞いて答えてくれただけだよ、きっと。深い意味なんて……」
「ないとしても。
そういう偶然が重なって、今も一緒にいるんだからそれが答えなんじゃないの?」
「答え?」
聞き返した私に、愛美が頷く。
「どんな経緯があったとしても、結果的に、沖田さんにとって由香は特別な存在なんだよ。
それだけは、今の話聞いてるだけでも分かった。
つまり、両思いって事」