蜜色チェーン―キミと一緒に―


拓海くんが誰にも執着しないように生きているのは知っていたから。

家庭教師って仕事で四年間縛り付けていたけど、それがなくなったら、拓海くんは私を切り捨てるんじゃないかって不安だった。

誰かを特別に思わないように、色んな人で寂しさを埋めて生きてきた拓海くんにとって。
私と過ごした四年は、長すぎるって思ったから。


家庭教師が終わるのと一緒に、私との関係も終わりにするつもりなんじゃないかって不安だった。


――けど。

拓海くんの就職が決まって、家庭教師として私の部屋にきた最後の日。
拓海くんは私に紙切れを渡した。


『俺のケータイ番号とアドレス。
四月になったらケータイ買ってもらうんだろ?
そしたら連絡して』
『え……』


びっくりして見上げると、拓海くんが笑う。




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