蜜色チェーン―キミと一緒に―
『もしかしてイヤ?』
『ううん! そうじゃなくて……』
『うん?』
『拓海くん、誰にも執着したくないから、決まった人とは一緒にいないって言ってたから。
今日で私とも終わりにするつもりかと思って……』
困り顔で微笑んだ拓海くんが、じっと私を見る。
少し悲しんでいるようにも見える微笑みに、思わず拓海くんの服をきゅっと握った。
どっか行っちゃいそうに思えたから。
『なんで……?』
『……俺にも分からないんだ。
なんでこんな事するのか』
『いいの? こんなのもらっちゃったら、私、本当に連絡しちゃうよ』
『うん。そのために渡したから。
……こんな関係、今日、終わりにして欲しかった?』
『え?』
『俺から、切り離して欲しかった?』
私が服を掴む手を、拓海くんの手が包み込む。
温かい体温を感じながら、強く首を横に振った。