蜜色チェーン―キミと一緒に―


一階の更衣室を使っているのは、受付と事務管理課、それと庶務課だけ。

どちらにせよ、二年目の私にとってはほとんど先輩だから、一応挨拶した方がいいかな、なんて思っていた時。
先輩のひとりが言った言葉に時間が止まる。


「でも沖田さんって、結構色んな子と付き合いあるらしいじゃん」


――拓海くんの話?


「付き合いっていうか、遊んでるんでしょ?
特定の彼女作らないで、一度きり、とかそういう関係しか持たないってよく聞くけど本当なのかな」
「んー、どうなんだろ。でももしそれが本当なら、最悪じゃない?
好きになってもらえないって事でしょ?」
「だよね。エッチだけしてポイなんてねー。
こっちだけ本気になっちゃったりしたら最悪だよねー。絶対報われないし」


ロッカーの向こう側でされる会話。
気付いたら、俯いてた。

これが、愛美の言ってた拓海くんの噂か。






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