蜜色チェーン―キミと一緒に―
別に、拓海くんの事が噂になるなんてよくある事。
私は拓海くんが好きだから、やっぱりやきもちとかを焼いてもやもやはするけど……。
今回はいつもに増して気持ちが沈んでいた。
それは、噂にじゃなくて、先輩たちが言った言葉に対して。
『好きになってもらえないって事でしょ?』
『こっちだけ本気になっちゃったりしたら最悪だよねー。絶対報われないし』
まるで私の事を言ってるみたいな言葉が、刺さるようで痛かった。
でも、分かってた事だし。
……うん。
分かってて、拓海くんの傍にいるんだから。
大丈夫。こんな事で、ショックなんか……。
「……えっ?」
「おはようございまーす!」
ぐいって私の手首を掴んだままどんどん歩いていく愛美が、今話していた先輩たちのいるロッカーの列に顔を出して挨拶する。