俺が唯一愛した女
「優斗」
俺の事を無言でじっと見る親父
『…何だよ』
優斗は思わずミユの手を離し
警戒しつつ親父を睨みつける
「暫く安静にしてろと言ったそばから病院抜け出しやがって… 何を考えてるんだお前は!」
今更?
抜け出した当日に
言う話しだろ普通
『何を考えてるんだって…仕事があるからに決まってんだろ』
「…とにかく優斗、お前も気をつけて行動しなさい。傷口が開くぞ」
『解ってるよ!』
俺を見てわざとらしく
ため息を1つ吐く親父
「ミユチャン、櫻井サンには全力を尽くしますから」
そう言った親父は
2人の看護婦を連れて
そのまま去って行った
「嘘よね、あきチャンが死ぬ…かもしれないなんて、あんなに元気だったのに?あんなに笑ってたのに?」
涙は枯れ果て力なく笑うミユ
『……。』
「ねぇ優斗どうして何も言ってくれないの…大丈夫だって言って…」
ミユは何も言わない俺を睨みつけ
そのまま病室へ入って行った。