俺が唯一愛した女
「あ、あきチャン!?」
ミユの焦る声に俺は口ずさむのを辞め
慌てて彰人サンを見た俺は驚き言葉を失った
『……。』
嘘だろ?
眠ったままの彰人サンの目から
一筋の涙が流れ落ちる。
「あきチャン聞こえる!?…あきチャ…」
ピーーー。
" 櫻井サン、櫻井サン "
『あき…と…サン…??』
「あ…あ…あ…あき…チャ…嘘…いや…いやぁああぁ!」
ミユは叫び声を上げその場に崩れ落ちる
そんな中
ミユを気をかけてやる所か
俺は思考回路が止まって…
頭の中が真っ白
胸が痛い
頭が痛い
何も考えたくない
もうここから逃げ出したい
優衣が死んだ
あの時と同じ
何とも言えない張り裂けそうな
気持ちを胸に俺は
今にも溢れ出しそうな涙を必死に耐え
ただ呆然と立ちつくしていた
『……。』
静かな病室内
彰人サンは
最後に1粒の涙を流して
眠る様に旅立って行った