シンデレラの王子は。
アタシみたいにイルカショーで頭いっぱいだったわけないし、考える程恥ずかしさ増すぞ、こりゃ。
「は、ずかしぃ~…」
顔見せらんないや、火噴きそう。熱い顔を両手で覆いながら言った。
力が抜けてベンチに座ってしまった。
さっきまで、チョー楽しみで楽しみで堪らなかったイルカショーが始まったというのに、しばしば指の隙間から、一ノ瀬さんの表情を窺うのがやっとだったんだ。
「俺は嬉しかったけど」
この素っ気なさげに言う言葉。
「今、嬉しかったって?」
「聞いてないことにしといて、」
アタシの方なんか見てくれないの。ただ、真っ正面のイルカショーを見てる。
今、一ノ瀬さんの瞳には何が映っているの?
イルカさん?アザラシ?
「じゃ、そうしときます」
少し落ち着いたから、両手を解いてみた。でもまだ熱い。気温のせいかと思うくらい。
「…鈍感」
「えっ?」
「やっぱ、俺言っちゃう」
何を?
声にならない声で呟いたつもり。
「羽海ちゃんのせいで、せっかく考えた俺のデートプラン台無し。」
いつもだったら、こんな真顔で言わないのに。ニカッて笑顔で言ってくれるような台詞。