シンデレラの王子は。
よく考えて、隣は…高橋くんだよ?
「ばーか、しっかり立ってろよ。隣が知らねーヤツだったらどーすんだ。ばーか」
今、ばかって2回言われましたけど。
でも、それどころじゃない。
何気にしっかり支えてくれてた。
恥ずかしいっていうか、頭ん中真っ白っていうか、なんだろ。
…苦しい。
顔見せたくなくて、下向いて高橋くんのスニーカー辺りを見ながら強がった。
この間にバス内の人はかなり少なくなって、さっきの混雑が嘘のようだ。
「あなた達、とてもお似合いね」
ふいに誰かが言った気がして顔を上げると、目の前にいたおばあちゃんがアタシ達の方を向いてにこやかに微笑んでいた。
「あ、アタシ達ですか?」
「そう、他に誰がいるのよ」
周りを見回してみたけどカップルらしき人はいない。
「いや、俺ら…」
付き合ってません!なんて言えない雰囲気。
高橋くんもそう言おうと試みたんだと思うけど、途中で断念したらしく口ごもってしまった。
高橋くんがアイコンタクトで“神谷が言えよ!!”って訴えてくるけど、“無理っ!!”って返した。
「こんな可愛い彼女がいて、幸せ者ね」
小声で高橋くんだけに言ったつもりだと思うけど、バリバリ聞こえてます。