恋愛談義!
「何を?」
「入社式で『イタリアの家族のように、大家族で食事をする雰囲気が好き』って言ったの、覚えてるか?」
一字一句、そらで覚えているのか。
井上礼央は唇に穏やかな微笑みを浮かべたままささやく。
「――覚えてない。受けねらいで言ったんだろうし」
「嘘つくな」
きっぱりと否定する彼。
「――」
思わず息をのむ。
くそ、恥ずかしい。
こんな一人の寂しい部屋に住んでるくせに、大家族に憧れてるってなんなのよ。
けれど残念ながら、あの言葉はウケをねらったわけでもない、本心だった。