恋愛談義!
それから、私の右手を包み込むように両手で握りしめる井上礼央。
いつくしむようなその仕草に、胸がしめつけられる。
人目につく危険性はほぼないとはいえ、職場近くでこんなふうに手を握り合ってるなんて、まずいのに。
すぐに振りほどくべきなのに、なぜかこのままでいたいと願う。
「――じゃあ、行ってくるね」
「うん。気を付けて」
「うん」
後ろ髪引かれながら、彼に手を振って階段を駆け下りる。
『多少は好きになってくれたのかもって思っちゃったからな、俺』
頭の中には、井上礼央の言葉がこだまする。
緩む口元を引き締めながら、足早に青天目ビルヂングを飛び出していた。