恋愛談義!
そもそも私は、五人いる同期の中で、唯一この、井上礼央という男がつかめないでいた。
葡萄の蔦みたいな巻き毛に、色素の薄い琥珀色の瞳。
もしかしたら外国の血が入っているのかもしれない、かすかにそばかすが浮く白い肌。
身長はすらりと高く、おそらく180以上あるとは思うのだけど
少し猫背なせいか小さく見える。
人当たりはいたってよく、営業成績は私たちの中でトップ。
ゆえに上司の覚えも悪くない。
けれどなぜか――
「やっぱりこういうことになったみたいで、ご愁傷様」
この男は、私に必要以上に毒を吐く。
カルボナーラの最後の一口を平らげて、残ったソースをフォカッチャできれいにぬぐい、ぱくりと口の中に放り込みながら。
「やっぱりってどういうこと?」