恋愛談義!
もちろん私は、世間一般が言うように彼を『愛』してはいなかったかもしれない。
けれどどうしても、そのたった30分で私が彼を愛しているかどうかなんて、伝わるはずがないと思っていた。
「――どうしてそんなことがわかるの? 私は彼を精一杯愛してたわよ」
口角をあげてにっこりとほほ笑む。
愛してる、なんて。
本気で言ったことなんか人生で一度もない。
けれど百の嘘も万の嘘も、重ね続けていればそれなりに恰好がつくもの。
人は自分が信じたいものを信じるのだから。
「またそうやってさらりと笑顔で嘘をつく。ほんと、気持ち悪い」
井上礼央は深くため息をついたあと、ティラミスが乗ったスプーンをもったまま、首を振った。