小さな豆子は霊能力者!? ―マイ・プレス―
「・・・これは」
お下げの髪の毛を結って、
赤いスカートを
穿いている女の子が、
部屋の端っこで
屈んでいるのが見えた
あれ、このシチュエーションは
見覚えがあるんだけど・・・
気のせいかな・・・
「なんかわかったかー?」
のん気に聞いてくるチャラ男くん
でも、やっぱ外から見ただけでも
黒い靄が立ち込めているだけあって
「予知通り、悪霊だと思う
・・・レベルは中弱だね」
微かに感じる、小さな波動
これは彼女の寂しさを
表したものなのか・・・
「色葉、何か聞こえるか?」
「んー、ちょっと待ってね」
今度は色葉ちゃんが、
耳に手を当てて、目を瞑った
「何やってるの?」
「周りの音を聞いてるんだ、
テレパスは人に物事を
伝えるだけじゃなく、
周りの小さな音を聞く事もできるんだ」
すかさず仏頂面くんが教えてくれる
すると今度はチャラ男くんが尋ねる
「サイコメトラーとは、
微妙に違うんだよな?」
「まぁーなぁ、
メトラーは触って物を透視するけど、
テレパスは何もしなくても聞こえる」
「ま、正確さを図るには、
メトラーの方が上だがな」
へぇ、能力にも色々あるんだねぇ・・・
「泣いてる・・・のかな」
色葉ちゃんが何かを感知したのか、
私達に教えてくれた
「微かにすすり泣く声がするの」
・・・私もそれは感じる
悲しい気持ちを・・・倉庫の中から
「もうすぐ、予
知時間の3分になるぞ」
って事は、
ここから出てくるって事なのかな
「おい、チビ豆」
「はいっ」
デカ男くんが私の手を握った
「っへ!?」
「いいか、こいつらを信じろ」
「な、何いきなり!」
「いいから、
お前の全力は絶対出させないからな」
「ど、どうして・・・」
「お前が全力出して、
封印したら、
また前みたくなっちまうだろ?」
「・・・はぁ」
「そのために、俺らがいんだよ、
お前の体の負担を小さくするためにな」
「・・・わかった」
「おし、いい子だ」
彼の手が私の頭を
クシャクシャと撫でた
目線は外したままだったけど、
優しい気持ちが伝わってきた
・・・なんだろ、この気持ち
すごく、心がくすぐったい・・・
っと、こんな桃色な事
考えてる場合じゃなかったんだ!!
ん、桃色って・・・
もしかして恋!?
い、いや、ありえない!
じゃなくって、
後もうすぐで、
倉庫の中の子が暴れだすんだ!
お願いだから、
そんな暴れないでねぇええ
「あと10秒だ」
仏頂面くんが時計をみてそう言う
レベルはそんなに高くないけど
緊張が走った