小さな豆子は霊能力者!? ―マイ・プレス―

変に焦らされ私は余計に気になった

そして、思わず彼のいる方向へ

顔を向けてしまった

「・・・っ!?」

「・・・へ、俺の勝ち」

私は目を丸くした

ベットがギシッと軋むく音がした

「こうしたら、
 もうお前は俺から目は離せねーよ?」

彼は私の腕を掴んだ

ていうか、彼の今の体制は

寝転がる私の上に覆いかぶさるような

四つん這いの体制で私の手を押さえていた

「どうだー?」

・・・どうもこうもない

恥ずかしいに決まってる

「・・・っ」

私が口ごもる・・・けど、

彼は私の心を透視できるから

すぐ気持ちは通じてしまう

「お前の心臓、バクバク言ってんじゃん?」

「き、聞かないで・・・」

「そんな緊張してんの?俺と一緒にいるの」

「別に緊張してなんて・・・ないから」

「ウソ付くんじゃねーよ、心は正直だぜ?」

奴は私の胸元に顔を寄せた

これには私も過敏に反応してしまった

「なっ!?」

「へ、やっと反応した、正直な反応な」

彼は甘い目で私を見下ろす

私はどうしようもないくらい、顔がへちゃけた

「お前さ、前も俺と
 2人っきりになった事あんじゃん?」

うん、まぁ、あったね

「なのに、なんで緊張してるわけ?」

そりゃ、これとあれとはわけが違う

過去に2人っきりになったのは、

いつも私の部屋の中だった

私の部屋の中にはもちろん

警察署内部だから監視カメラもあるし、

奈緒ちゃんが多分部屋の外にいたと思う

でも今回はマジで2人っきりだ

部屋の外には誰もいないし、

監視カメラもない

ていうか、みんな全校集会で集まってる

だから・・・恥ずかしさと緊張を隠せない

それに、私にはこの高校に入ってから、

全てが初体験だから

義務教育だけど、

小学校や中学校には行ってないし、

集団の中にも入った事なんてなかった

女の子の友達もままならないのに、

ましてや男の子だなんて・・・

困る、本当に困っちゃう

「・・・私はっ」

「そんなビビル事ねーって」

彼は私の胸の上でそう呟いた

首筋に彼の息が掛かってビクついた

「つーか、お前、名前で呼べよな?」

「え・・・」

「触れてるからずーっと
 お前の心の声聞こえんだけどよ、
 俺の名前呼んでねーし」

「あ、あの・・・」

そういえば、そうだった・・・

私、ずっと彼とか奴とかしか言ってなかった
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