続・俺様王子の初恋
「 ・・・初めまして、一之瀬葵です 」
「 葵さん、いつも泰雅が
お世話になって・・・ありがとう 」
相変わらず厳しい表情の
お父さんの隣で、優しく
お母さんが微笑んでくれた。
少しだけホッとしながら
笑顔で返して、”言いたいこと”を
言おうと口を開いた私の手を
先輩が痛いほど強く握って、止めた。
「 親父、俺就職する 」
先に口を開いたのは、先輩だった。
驚いて先輩の顔を見上げたのは
私だけじゃない。
「 ・・・何を言っているんだ 」
「 卒業したら、家を出て働く 」
焦る両親の前で、先輩は
深く頭を下げた。