契約の婚約者
「ったく、狭いな……」


片桐はずろうとしない沙希の反対隣の席に腰を下ろした。


「無理矢理座っていて文句言わないでよ?」


食堂の端にある壁際の席だというのに、周囲の注目が集まり出し食堂はざわつく。


最近噂の二人が相席しているのだ、しかも、本意ではないが、壁際の席ということがまた関係を隠しているようで真実味がます。


「すごく迷惑。カタギリさん目立つんだからやっぱ別の席行ってよ」


「それは、お前もだろ?俺だけのせいじゃない」


「じゃ、尚更一緒に座らないで」


「嫌だね。そろそろ、お前には自覚してもらわないとな?」


片桐が沙希を見据えて意味深に笑う。何となく云わんとしていることはわかる。



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