契約の婚約者
「フッ……十和子さんからまた電話があったぞ?早く式場を選べと」


「またママ?カタギリさん、えらくママに気に入られたねぇ」


沙希は皮肉っぽく笑う。どうしてもあの母親の言いなりになりたくないというのに、片桐は彼女の希望を叶えることばかりする。


つい先日も十和子から電話があったらしく、一条の家へ招待されたらしい。


そして沙希に断りもなしに会食の日時を二人で勝手に決めてしまったのだ。


「逃げてばかりもいられないだろう?」


「…………」


逃げているわけではない。


ただ、やっぱりあの母親が正しかったと認めたくないだけだ。



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