契約の婚約者
お見合いの席で沙希は、感情を露わにし、はっきりと「こんなお見合い無意味だから」と面と向かって断ってきた。


片桐は、いつものように感情を一切押し殺し、冷静に受け流した。


その能面のような冷たさは氷点下温度とまで揶揄されたくらい。


若い時は「クールな貴公子」などともてはやされたこともあったが、今となっては、その厳しさに、社員は恐れる。


そんな片桐に全く物怖じせず、沙希は噛みついてきた。


8歳も年下で、女としての魅力は十分にあっても、女らしさの欠片もない彼女に、最初片桐の食指はピクリとも動かなかった。


だが、挑んでくるような強い瞳に、「この女を組み伏せたい」と思ってしまうのも男の悲しい本能。


挑発されるように、ただ欲を求めるように彼女と身体を重ねた。



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