契約の婚約者
沙希への愛しさが増せば増すほど、己の欲望を抑えることができなくなる。


自分のどこにこんな激情があったのかと驚く。


いつからだろうか、彼女を自分だけのものにしてしまいたい。


そんな独占欲に駆られるようになったのは……


「少しは自重しないとな……」


「どうしたの、カタギリさん?」


ふと零した言葉に、彼女はその意志の強い瞳で何か推し量るように見つめる。


「ちょっと、今日は変だよ?」


「そうか?気にするな。腹が減ったろ?何か作るから待ってろ」



誤魔化すように沙希の頭に手を置き、そのやわらかい髪をそっと手で掬う。


あぁ、ヤバイな……


年甲斐もなく、髪に顔をうずめ、抱きしめたい衝動にかられる。


一刻前まで、散々抱いたというのに。


自身の欲望を、わずかながらに残っている理性で押しやり、ベッドから降りようとしたとき、背後から急に腕を引かれて押し倒された。


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