契約の婚約者
「何それ……」


「沙希、どうした?」


「こっちが聞いているのよ!?」



沙希は片桐をベッドに押し戻し、その上にまたがるようにして彼の身体を押さえつける。


女に押し倒されるのは趣味じゃないが、この眺めはいい。


惜しげもなく豊かな胸を上下させ、何故か怒っているようだ。


おい、鉄の意志で追いやった俺の欲望をそんな簡単に引き戻すな。



「沙希、足りないのか?」



からかいを含めた声で尋ねれば、いつものように悪態をつくかと思った小さな口に片桐のそれは塞がれた。


沙希は貪るように吸い付き、舌を絡ませてくる。


ひどく焦ったような口淫とも呼べるその行為に、逆に冷静さを取り戻す。



沙希は脈略のない行動をよくするが、今度は一体どうしたんだ?


< 227 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop