契約の婚約者
「んん……沙希……」


咎めるように唇を離し、彼女の頤をつかみ、視線を合わせれば、切なそうに歪む彼女の瞳に、片桐の心臓が跳ねた。


何故そんな顔をしているんだ?



「そんな態度やめて」


「沙希、何を……」


「誤魔化さないで。カタギリさん、自分でも気づいてないでしょ?」


「………」



沙希の意図していることがわからず、不可解な顔で黙っていると、沙希は再度その魅惑的な身体を押し付けてきた。



「さ、沙希、頼むからわかる言葉で説明しろ」


「カタギリさん、時々急にふっと離れて冷たい態度になる」


「は?」


「だから、自分で気づいてないんでしょ?そんなの絶対に許さない」


「俺がいつ----?」


「私があなたを突き放しても、あなたがそれをするのは許さない」



全く身に覚えのないことで避難され、とてつもなく傲慢なことを言われているのは気のせいだろうか?


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