契約の婚約者
「私ね、奈央に内緒にしていることがいっぱいある。ウソついていることも……」


真面目な顔をして沙希が口を開く。


「----知ってるよ」


「え……?」


余りにもあっさりと返事を返され、何を、と尋ねそうになる。


「この部屋見れば分かるよ……どこに普通のOLがコンシェルジェ付きのマンションに住めるのよ?」


奈央はクイッとグラスの中のワインを飲み干す。そして自分で新たにワインを注ぎ、沙希をじっと見つめた。


「沙希が言いたくないなら別にいいよ。だって聞いたって私と沙希の関係は変わらない。5年の付き合いだよ?」


予想外の奈央の反応に沙希は面食らう。


泣きそうな顔で、何?と聞いてくるかと思ったのに。



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