あの扉の向こう側
しばらくすると教室に
人が入ってきた。


「今井さんおはよう。」

クラスの女の子2人が言った。

「おはよう。」

そっけなくでもいちお答える。
クラスで皆はあたしを「今井さん」と呼ぶ。
誰一人として下の名前で呼ぶ人はいない。

この子達は確か、
岡本美恵さんと斎藤美波さん。
2人ともバスケ部ですごく仲がいい。


「今井さん、いっつも朝早いけど何してるの?」

岡本さんの方が訊いた。

「別に、いつも本読んでるだけだけど。」

ここでもそっけなく答える。

「あ・・・そうなんだ。いつも朝練がある
 あたし達より早いから不思議だったんだ。
 ね。美波。」

そう岡本さんは笑顔で斎藤さんに言った。

「う、うん!」

「ところでさ・・・」

岡本さんの話がまだ続きそうだったから

「ごめんけど、あたし人とそんな
 話すつもりないから。
 また今度にしてくれない?」

そう言ってあたしは席を立った。

「「え・・・」」

2人は驚いた顔をしていたけど
あたしは振り返らず教室から出て行った。


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