あの扉の向こう側
本当は、あんな態度とりたくなんかない。
けど、もし誰かと仲良くなって
また転勤がきて、「さよなら」を言う
悲しい思いをもうしたくない。

だから、あたしはああやって
人と適度に距離を取らなきゃいけない。

そんなことを思って
トイレの便座に座って
しばらく教室に戻るまでの時間を
過ごすことにした。

するとクラスの中でも
リーダー的存在の子達の声がした。

「ってかさー、あの今井さんの態度
 どうにかなんない?
 マジムカつくんだけど。」

「あーわかる!転校生だからって
 『あたしは別の世界の人よ』
 オーラがヤバいよね」

「もう転校して2年も経つんですけど~?
 って感じだよね~」

そう口々に言いたい放題だ。

でも、これでいいんだ。
こうやって嫌われてたら
別れる時が寂しくなることなんてない。

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