あの扉の向こう側
その子達がトイレから
出て行ったのを確認して
あたしはトイレから走って飛び出した。
そして、ふと左の方を見ると、
そこには、防火戸があった。

「防火戸・・・。」

『あたしをどこか別の場所へ連れて行って。
 転勤しなくても、クラスの子と距離を
 とらなくてもいい場所へ。』

そう心の中で誰に言ってるのかも
わからないけど、つぶやいた。

そして、小学校の頃を思い出すように
目を閉じて、防火戸をそっと開けた。

開けた勢いで、少し
風が起こり頬に当たった。


そして、目を開けると・・・
いつもと何ら変わらない
学校の風景が広がっていた。


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