叶わない恋。





「桐ちゃん、親は絶対に帰ってきたでしょ?

遅くなる、って言っても日付が変わる前に帰って来るでしょ??


うちは日付が変わっても、


1日終わっても、


帰って来ないことがある。


忙しいのはよく分かる。


理解できる。


けど、理解できない。」


頭では理解しているつもりだけど、


体が、心が理解することを拒んでる。



あたしや兄貴を養うために働いている。


けど、あたしからすれば育児放棄に近い。


ダメなんだ。


やっぱり理解できない。



理解しようと頑張るだけ、



理解したくない、と拒む気持ちが大きくなる。



「でも今さらあの親に何かを求めるつもりなんてない。


ただあたしは見送りくらい、来てほしいな…。

って、そんなこと思ってる。


ま、きっと無理だと思うけど。」


少し、喋りすぎた。


疲れたよ、桐ちゃん。






< 406 / 426 >

この作品をシェア

pagetop