英国喜劇リトレイス

「!!」

キッと顔を上げたカレン。
深いシワを刻んだ眉は下がって、潤んだ目からは光る雫が今にもこぼれそうだった。

「いや、悪い! そんな他意は――」

「そんなの……卑怯ですよ、ディゼル様ッ……」

「………」

カレンの我慢が、決壊した。

「一緒に、いたいに……決まってるじゃないですかッ! でも、でも……」

嗚咽が言葉をかき乱す。
俺は何もいうことができなくて、拳を握りしめた。


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