英国喜劇リトレイス
「じゃあ、俺が兄貴を止めようとしていたことが、神に行為に抗ったとされたわけか?」
「そゆこと。あくまで抗おうとしたディゼルは、無意識に自分の生命力を使って人間離れした力を発揮した」
「それが、あの不思議な力ですか」
「ええ。それが尽きて、ディゼルは一度命を落とした。正直、私の力も賭けだった。それでも戻ってきたのは、奇跡」
俺は今一度、カレンに対して感謝の念があふれるのを感じた。
「で、私の話は終わり」
紙をたたんで、セルマはジュダスに目を向けた。
「後は貴方たちが選ぶこと」
ジュダスは大きくため息をついた。
こいつが、ずっとロシュに操られてたんだ。
責任を感じてないわけ、ないよな。
「なんか疲れた」
「って、話違うんか!!」
「あ? どうしたディズ?」
「…なんでもない」