「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
脱出用宇宙船は、あくまで緊急用であるために小さく居住性も悪い。

直は地球へ向かうか、それとも緊急避難として火星へ向かうかで悩んでいた。

その時、小惑星群は火星へ向かっていたのだが、通信装置の故障している直たちは、全く、そんな事は知る由も無く、どちらにするかで迷っていた。

火星か地球か・・・迷っていた・・・

小惑星群が火星を通過して多大な被害が出る直前に、結局、直たちは緊急避難として火星へ向かうのを決定し、宇宙船は火星を目指して進んでいた。

小惑星群により火星では信じられないような被害が出てから、約一日後、通信装置の受信機部分が、どうにか回復し、通信傍受ができるようになった。

その頃は、火星の状況が地球でも次第に判明してきだしたところであり、地球から火星へ、住民の救助対策を送信して、やりとりしていた時期である。

直たちは、入ってくる内容を聞いていると、どうも火星を小惑星群が通過して、火星の施設が大ダメージを受けているようであった。

とにかく地球と火星の間は大変な量の通信で、具体的に、どこがどうなっているのかは分かり辛いのだが、直たちが火星に着陸できる状況に無いことだけは確かなようだった。

致し方なく直は火星へ向かうのを諦めて、地球へ向けて舵を切った。

通信傍受を続けながら地球へ向かって航行していると、現在の、おおよその状況が判明してきた。その頃には、地球本部から依頼され、火星を通過した小惑星群を観測調査しようと、小惑星群に近づいた貨物船が消息を絶った頃であった。
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