「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
平和維持軍の日本隊の海軍は電子ビーム砲や迎撃ミサイル装備の艦艇を八隻保有しており、第一群の四艦は小笠原東方の海域に進出し展開しようとしていた。第二群の四艦はマリアナ海域を目指して進んでいた。

吉里は第一群の四番艦の艦長であった。

彼は、直が高校時代に所属していたアメリカン・フットボール部の先輩で、大学は別であったが、直が四国巡礼に行く時に四国で落ち合い、一緒に一ヶ国巡りをしたこともある仲であった。

直はアメフト部でいた頃から、主将で抜群の体力と統率力のある吉里を尊敬していた。

吉里も、真面目で頭が良く、努力家の直の面倒をよくみた。直の父親が亡くなった後も、何かと相談に乗ったりしたものであった。

吉里の乗艦している艦は、あらゆる周波数の電波を傍受することが可能で、傍受する周波数のチャンネルを変更している途中に偶然、直の通信が入ってきたのである。

彼は直から地球本部への通信を聞き取っている間、直がアメフト部時代に考える作戦は、いつも論理的で的を射たものだったのを思い出していた。

その直が送ってきているのであるから間違いなく、小惑星群は無機物生命体であろうと思った。

彼が何か対策を考えなければいけないと思っていると、艦隊司令官の乗る一番艦より迎撃準備の指令があった。

小惑星群が地球上空の補足できる位置に来たならば、一番艦より随時、電子ビーム砲と迎撃ミサイルを発射してゆく手筈である。

ただし基本的には破壊力の弱い迎撃ミサイルよりも電子ビーム砲を優先して使用する。

相手が無機物生命体だとして、普通どおりに攻撃しても大丈夫であろうか。

核ミサイル攻撃も命中寸前で失敗しており、直の情報を読み取ると核ミサイルは命中寸前で生命体に敵だと判断されて、抹殺されたのではないかと思える。
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