佳き日に





「あれ、琴はどこですか?」


琥珀がそう言ったとき、玄関の扉が開いて雪が帰ってきた。

なぜか大量の紙袋を携えて。


「どうしたんですかそれ。」

「買ってきた。」

「何をですか?」

閏に視線を向けたまま雪は琥珀を指さす。

「こいつの服。」

「えっ!?」

琥珀は嬉しそうにいつもより少し高い声を出した。

やはり女の子は服を買ってもらうというのは嬉しいのだろう。
雪に手渡された紙袋を見つめる目も心無しかキラキラしている。

「これめっちゃ高いブランドじゃないですか。」

「そうなのか?」

「しかも上下ともに買ってきてくれたんですね!ありがとうございます!」

「あぁ。よく分からなかったからマネキン買いした。」

「マネキッ・・・!?」

一回仕事をこなすだけで数千万を得る雪は琥珀との金銭感覚がズレていた。

未だ信じられないといった様子で服を見ていた琥珀が閏にコッソリ耳打ちしてくる。

「雪さんって、お坊ちゃんなんですか?」

「いえ。仕事が高収入なんです。」

閏の言葉に琥珀は目を丸くする。
危険と手間はあるがその分人殺しは報酬が高い。

今まで一般的な家庭で育ったであろう琥珀にその感覚は分からないだろう。



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