佳き日に
もしもこれから閏と琴が雪に協力しない、という道を選んだらこの二人だけになるのか、と思った。
なんというか、やっていけるのだろうか、と心配になる。
閏は別に本物の赤い女に興味はないし、出来るだけ面倒ごとは避けたいと思っている。
だが、めんどうだからと切り捨てられるくらい雪との付き合いは短くない。
あまり深く関わることはないが、それでも長い間一緒に仕事をしていれば情が湧く。
どうしようか、と閏は本気で悩む。
切り捨てるのが安全な道だろう。
実際、雪も色々と手を回してくれているみたいだ。
先ほどの雪と琥珀の会話に些か不安は残るが、ここは安全を取る方が賢いだろう。
そう悶々と閏が考えていると、雪がハッとした声をあげた。
「鉛丹と桔梗に交渉してみないか?」
「何をですか?」
琥珀が身を乗り出して雪に返事する。
「休戦しないかって持ちかける。」
「休戦?意味あるんですかそれ?」
「少なくともお前が学校に行けるようにはなる。」
「早速交渉しに行きましょう!」
閏は下を向き、一度ため息をつく。
テンションが上がっている琥珀を横目に遠い目をする。
なんというか、この二人はもう。
「僕がいなくちゃダメですね。」
閏のその呟きは、誰にも聞かれることなく部屋に落ちていった。