佳き日に
[2]
さく、と桔梗は先程剥いていた柿を口に含む。
ほのかに甘い味が口に広がる。
桔梗は柿のこの控えめな甘さが好きだった。
「おい、桔梗、俺にも。」
窓の側にいた鉛丹にそう言われ桔梗は腰を上げる。
ここ数日、ずっと窓から通りを眺めている。
あまり派手に動かない理由は、椿から動くなと言われたから。
だが、一番の理由は菘からのメールだった。
『分割作業ってどう思う?』
菘が何を言いたいのかよく意味は分からなかったが、とりあえず返信はしたほうがいいだろう。
そう思って桔梗はその場で思いついたことを返信した。
『効率がいいんじゃないでしょうか。』
やめておけばよかったと、今はちゃんと反省してる。