佳き日に
自分が、赤い女に狙われている。
特定されるのも時間の問題だろう。
不思議と椿は落ち着いて受け入れられた。
「本物の赤い女が動き出したらしいよ。」
隣にいた菘の目がすぅっと細められる。
仕事モードに入ったみたいだ。
菘は、本気で赤い女を殺す気だ。
あの、メモリーズ最強と謳われた雨さえも殺した赤い女を。
不可能とまではいかないが、殺せる可能性はゼロに近いだろう。
椿はけっこう菘を気に入っている。
自分の娘のように思えるときがたまにあるし、赤い女を殺す、と目標を高くもつのはいいことだとも思うが、死んで欲しくない。
どうしようか。
冷蔵庫に入っていた生チョコをつまむ。
一つ、ある考えが椿の頭に浮かんだ。
単純で、簡単だが、なかなかいい案。
菘を騙してしまうことになるが、その分利益も大きい。
利益というか、救える人数が。
いけるかも、と心の中で呟く。
ニッと、椿の口角が上がった。