佳き日に
『十月六日。
茜は一回も部屋から出て来ない。
衰弱して動けないのだろうか。
よく分からないが、落ち込んでいるのだけは分かる。
今まで仕事以外のプライベートで話す人がいなかったことが災いした。
落ち込んでいる人には、なんて声をかけてあげればいいのだろう。
見当もつかない。』
『十月七日。
人間にとって家族は一番大切なのかもしれない。
数日ぶりに姿を見せた茜はやせ細っていた。
目に生気がない。
もう、見ていられなかった。』
『十月十日。
俺は常に警察に狙われている。
俺に恨みをもつ奴だってたくさんいる。
とにかく、俺の側は危険でいっぱいだ。
メモリーズだから。
そう、メモリーズだから茜の側にずっと一緒にいることは不可能だ。
一緒にいればいずれ彼女にも危険が及ぶ。
家族になるだとか、子供を作るだとか、そんな普通の幸せを彼女にあげることが出来ない。
それは、人間にしか出来ない。
もう彼女の前に現れないようにしよう。
彼女が幸せならば、それでいい。』
支離滅裂な文章だな、と琴は思った。
日記を書いて色々考えすぎ、何を書きたかったのか分からなくなってしまったのだろうか。