佳き日に
「琴、うるさいです。」
琴の笑い声に起きたのか、閏が渋っ面でそう言ってきた。
閏の機嫌を損ねると分かってはいても、琴は笑いを止められなかった。
今までの自分たちが馬鹿みたいで。
メモリーズだからって、選ばれなかったからって、不幸な顔で被害者面して。
人間を羨んで。
お門違いだ。
人間だって、苦しくて、辛くて、それでも歯を食いしばって生きているのに。
「・・・琴がこんなに笑ってるの初めて見ました。」
寝ぼけ眼で閏がそう呟く。
「俺も、こんなに笑ったの初めてかもしんねぇ。」
そう言った琴を、閏は不思議そうに見つめるだけだった。