佳き日に
[7]
やはり閏は琴よりも読むスピードが格段に速かった。
琴が二日かけて読んだところに、三時間で追いついてしまった。
「どーよ。」
「雨さんが、想像していたよりもずっと人間味がありましたね。」
「そーかよ。」
「あと、茜さんが今も生きているのか気になります。」
閏はパタンと日記を閉じた。
閏と琴が読み進めた箇所の先にも何枚か付箋が貼ってある。
「俺読むの遅せぇし、閏先に読めば?」
「いえ、僕これから買い物行かなきゃいけないので。」
「夕飯の?」
「そうです。」
「なんか閏主夫みたいだな。」
そう言って琴がニヤッと笑うと閏は嫌そうな顔をした。
「僕料理苦手なんですけどねぇ。」
「この家に住んでるやつは皆料理苦手だし。」
「あ、味見は琴がしてくださいね。」
「え?閏は味見しねぇの?」
きょとんとした閏。
それにつられるように琴もきょとんとした。
どうやら会話が食い違っているようだ。