佳き日に
『五月六日。
最近警察に殺されるメモリーズの数が増えた。
俺への依頼も増えた。
めんどくさい。』
八年経ったらものぐさになったのか、一日一日の書く量が減っていた。
そういえば、と琴は考える。
メモリーズが死んだら、盗られていた記憶は元の人間のところに戻るはずだ。
雨が赤い女に殺された時点で茜という少女は家族が自分と喧嘩した翌日に死んだことも、雨という男と一年以上親交があったことも思い出したはずだ。
思い出して、彼女はどんな気持ちだったのだろう。
ようやく思い出したのに、雨はもう死んでいて。
やはり雨を探しただろうか。
それとも、昔のこと、と割り切って今の生活に目を向けたか。
この茜って女は、今どうしてるんだろうな、と琴はぼうっと考えた。