佳き日に



[1]

来ない。
雪が、来ない。

清潔だが生活感はない部屋のリビングに座って琥珀は悶々と考えていた。

雪にここに時間通りに来いと言われて来たが、呼び出した当の本人雪が来ないのだ。

いつまで待っても、全く来ない。
ここは本などという暇を潰せるような娯楽品はあることにはあるがもう何回も繰り返し読んだので、ぶっちゃけ時間を潰せるものがない。

というか、自分から呼び出しておいて遅れるとはどういう了見だ。
雪は怖いが、イラつくものはイラつく。

琥珀は少しでもイライラを解消するために何か動こうと思いストレッチを始めた。

雪にしごかれ始めてから筋肉痛がすごい。
というか、かつて私の人生の中でここまで運動した時期があっただろうか。
いや、ないな。
反語って便利だ、と琥珀は思いながら痛む体をゆっくり伸ばしていく。


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