佳き日に
『二月七日。
車に乗っていたメモリーズが赤い女に殺された。
だが、今回も十歳の男の子は気絶させられただけで殺されなかったらしい。
赤い女は何故メモリーズの子供を殺さないのか。
赤い女以外の警察の連中は子供でも容赦無く殺してくるというのに。』
『二月二十三日。
遥の予想では、赤い女はメモリーズの誰かを探しているのかもしれない、らしい。
探しているって、誰をだろう。
多分俺は違う。
茜の記憶から、俺に関するものは全て盗ったから。
あと最近雪が転がってベビーベッドから逃走を謀ろうとする。
生後一ヶ月じゃまだ無理だろう。』
赤い女が子供を殺さなかった、というのは初耳だ。
今まで赤い女を見て生きてこれた人はいない、と言われていたのは大げさだったんだな、と琴は思った。
次の付箋は日記の終わりの方に貼られていた。
きっと、雨が赤い女に殺された日だ、と思った。
さらに一年後。
雨が茜と別れてから十二年後。
『四月三日。
盗聴器を付けてきた。
茜(赤い女)ともう一人のせんべいとか呼ばれていた警察には付ける隙がなかったが、もう一人いた下っ端であろう男に付けておいた。』