佳き日に
『どんな不幸でも、きっと、俺とお前だったら乗り越えていけるよ。だから、結婚しよう。』
『………っはい‼』
女の目から涙が零れ落ちる。
綺麗なピアノのバックミュージックが流れてきた。
口に広がるまったりとした風味を感じながら琴は思った。
雨もこんな風に茜を抱きしめてあげれば、もっと変わった未来があったんじゃないか。
世間体もメモリーズも、茜の罪悪感、しがらみなんてどうでもいいと。
ただ、好きだから隣にいてくれと一言。
そうであれば良かったとまでは言わない。
でも、雨の想いはもう少し報われても良かったんじゃないか、と琴は考えていた。