佳き日に
「茜ちゃん、大丈夫?」
家に帰ると祖母がいた。
心配かけてしまったな、と茜は少し気まずくなる。
「お部屋でずっと何してたの?」
「……ごめん。分からない。」
また、違和感。
ここ数日ずっと部屋にいた。
ただ、何をしていたのか思い出せない。
あやふやだ。
家族が死んでしまった喪失感、寂しさで記憶が曖昧になってしまったのだろうか。
「あ。」
「どうしたの?」
「謝ってたんだ、私。ずっと部屋で。」
「誰に?」
「……さぁ?」
祖母の瞳が不安気に揺れる。
困惑しているのだろう。
茜自身も困惑していた。
ここ数日ずっと謝っていた、誰にだかは分からないけど、謝っていたことだけは思い出した。